Contents
筋・筋膜性腰痛
腰痛の中で最も多い腰痛です。
ヘルニアや腰椎に問題がない場合に、付けられる名前です。
状態
骨盤の上、背骨の両サイドを押すと痛みを感じるのが特徴です。
長時間立ちっぱなしや座りっぱなしの方に多い腰痛です。
肥満だから、運動不足だからという方がおられますが、あまり関係ありません。
痩せている方で腰痛という方もおられますし、スポーツしている方で腰痛という方もおられます。
原因
一般的には、脊柱起立筋が疲労して、異常収縮することが原因と言われています。
前屈みの姿勢を長時間維持するということは、脊柱起立筋が収縮してその姿勢を維持することになります。
ということは、当然、脊柱起立筋が疲労してきます。疲労すると筋肉は異常収縮します。
すると、骨に付着している筋肉の端の方に大きな負担がかかり痛みが生じます。
もちろん、脊柱起立筋だけでなく、大殿筋も同じように疲労しますので、お尻の方にも痛みが生じることになります。
腰椎はもともと前湾しているので、その形の状態が一番筋肉に負担がかからない状態です。だから、その形を壊そうとする姿勢は、もっとダメということになります。
たとえば、車の座席に座ると、坐骨がシートに着いたあと、骨盤が後ろに倒れるようにして背もたれに寄りかかります。
骨盤が後ろに倒れるということは、前湾していた腰椎がまっすぐの状態に近づくことになります。
脊柱起立筋が疲労して、異常収縮することが原因であれば、筋肉を緩めることで変わります。
ソファーや椅子に腰をまるめて座るなどの骨盤を後傾させる姿勢の問題は、それだけではありません。
骨盤を後傾させると、ハムストリングス(大腿の後側の筋肉)がだらけきった状態になり、その筋肉に刺激が入りません。
筋肉は、使わないと硬くなる性質(血流が悪くなると組織が酸欠状態になり、緊張して硬くなる)があるので、ハムストリングスが硬くなり、タイトハムと呼ばれる、新たな腰痛の原因となります。
立位体前屈で、指先が床に届かない人は、この可能性があります。
実はそれだけではない
しかしながら、すぐに腰痛を再発する方がいます。
ということは、根本原因は、もっとほかにあるということになります。
一番多いのは、足裏のアーチが崩れ、その歪みが上へと伝わり、腰痛になるケースです。
偏平足や足裏のタコ、魚の目、外反母趾、O脚、あるいは靴底の踵の片減りなどがあれば、足元からくる腰痛です。
足裏のアーチの崩れは、間違った生活習慣によるものですので、整体以外にも、生活習慣を変える必要があります。
葵整体院では、生活習慣の指導も行います。
朝起きた時に腰が痛い場合、股関節の前側の筋肉(大腰筋、腸骨筋)が緊張している方が多いです。
その緊張を起こす原因は、前仙腸靭帯の緩みですが、さらにその原因は、足裏のアーチが崩れからくる歪みです。
反り腰も、同様です。
もし、骨盤をベルトなどで締めて、軽減する場合は、靭帯の緩みがあります。
ほかにも、精神的ストレスが関係している場合もあります。
精神的ストレスによって、脳機能が低下すると、軽い痛みが激痛に変わったりすることがあります。
下記に、実際の来られた方の検査結果をご紹介します。
写真内で、青のボールペンで書かれた部分が、痛みなどがある所です。
写真内で、赤の色エンピツで塗られたところが、ここで見つけた、本人は知らない隠れたダメージ(結合組織の異常のみ記載)です。
20代、男性。
4年前から、ずっと腰痛が続いている。
30代、男性。
20代から、ずっと腰痛が続いている。
1年前に、ぎっくり腰もやっている。
30代、男性。
以前から、腰痛やぎっくり腰を繰り返している。
痛みは、腰にあります。
しかし、ここで調べると、股関節の前側や後側、太もも、すね、足の甲などに、隠れたダメージがあります。
つまり、まず初めに足元が歪み、その歪みが上へと伝わり、その間の組織にダメージを与えていることがわかります。
したがって、腰周辺をいくら施術しても、再発を食い止めることはできません。
それから、検査で調べている異常は、結合組織(筋膜・骨膜・腱・靭帯ほか)ですので、筋肉をどんなに緩めても、この異常はなくなりません。
つまり、離れたところに異常があることがわかっても、結合組織の異常に対応できる整体法がないと、ダメです。
対処方法
長時間同じ姿勢にならないように、1時間に1回程度、休憩してください。
痛みが強くなる動作は避けますが、それ以外は普通に身体を動かすようにします。
整体により、筋肉の緊張を解き、身体のゆがみをとってください。
また、指導にしたがって、生活習慣を変えてください。
体幹の筋肉を鍛えて、自分の筋肉でコルセットを作る方法も悪くはありませんが、いずれ年齢とともに筋肉が衰えることを考えると、生活習慣を変えることが最善だと思います。
注意事項
高齢者の場合、骨粗鬆症による圧迫骨折による痛みの可能性があります。
寝た状態から起き上がろうとすると時や、座った状態から立ち上がろうとする時に激痛が出ます。
自分でできる対症療法
車に座る時
骨盤が倒れて、仙腸関節に負担をかけたり、生理湾曲が崩れないように、タオルを腰と座席の間に入れます。
デスクワークの時
1時間に1回程度、以下の運動をします。
- イスに腰掛けた状態で、上体をダラッとさせて腰椎の前湾を崩し、1分間維持します。
- 次に、上体を反らすようにして腰椎の前湾を最大にし、1分間維持します。
- その中間の姿勢で、デスクワークをします。
朝起きた時に痛い場合
寝返りがスムーズにできることが重要です。
そのため、柔らかすぎる敷布団や枕、重すぎる掛布団、幅の狭いベッドは、朝起きた時の腰痛につながりやすいので、注意が必要です。
体の硬さから寝返りができない方は、整体を受けることが先決ですが、対症療法的に対処するには、タオルを丸めて腰椎の前湾が維持できるように横向きに敷いて寝るようにします。
そうすれば寝ている時、内臓の重みによる腰椎の前湾に負担がかかっても、ある程度は維持できます。
ただし、タオルの高さは、寝返りを打ってもだいじょうぶな高さにしておきます。
枕の高さが合っていない可能性もあります。
枕の高さが高いと、腰椎のカーブが急になり、寝ている間に腰痛を起こします。
枕の高さの目安は、第7頚椎と首のカーブの一番深い所の距離です。
枕が合っていないと思われる場合は、計測してオーダーメイドの枕を製作するところをお勧めします。
反り腰の場合は、股関節の前側の筋肉(大腰筋、腸骨筋)が緊張しているため、膝を曲げるようにすると楽になります。
足先からくる腰痛の場合
シューフィッターのいる靴店で、自分にあった靴を選んでもらったり、今履いている靴を直してもらったりしてください。
自分に合った良い靴は、履いた瞬間に楽で、足指が使えている感じがあります。
なお、靴底を見て、踵部分が斜めにすり減っている場合は、要注意です。
穴があくほどすり減っているならば、靴底を修繕するか、新しい靴に買い換えるかしないと、何をやっても変わりません。
立位体前屈で指先が床に届かない場合
膝の高さ以下の椅子に座り、足の指先が膝の先に来るように、少し足を引きます。
両手で、両足の足首の後からつかみ、胸を太ももにつけて、頭を下げます。
胸が太ももについたまま、膝を伸ばしながらお尻を持ち上げます。
太ももの裏が痛気持ち良い程度まで膝を伸ばして、10秒間キープします。
再びに、元に姿勢に戻り、もう一度繰り返します。
これを朝晩、1週間以上行いますと、立位体前屈で深く曲げられるようになります。
上体を前に曲げて痛い場合(上体を反らしても大丈夫の場合)
- 上体を何回か反らせます。
- 片方の足を台にのせ、その足の膝を抱えて、上体を10回、前に曲げます。足を変えて、同様に10回、前に曲げます。
上体を反らして痛い場合(上体を前に曲げても大丈夫の場合)
- 仰向けに寝て、両膝を抱えて、腰を丸めます。その後、両膝を遠ざけたり近づけたりする動きを、10回繰り返す。
- うつ伏せになり、両腕で押すようにして、痛くない範囲で、腰を10回反らせる。
立っていると痛い場合
- 椅子に座った状態で、股を大きく開き、上体を10回、前に曲げる。
- 上体を右に捻るようにしながら、上体を前に曲げる。次に、上体を左に捻るようにしながら、上体を前に曲げる。以上を、10回繰り返す。
上体を捻って痛い場合
- 痛くない方向に、上体をゆっくり捻る。それを何回か繰り返す。
- 痛みが軽減したら、痛い方向に、上体を少しづつ捻る。
自分でできる腰痛予防
上体を前に曲げていて、腰痛を起こしやすい人は、曲げ方を気を付けると予防できます。
通常は、腰を丸めて上体を前に曲げますが、骨盤から上はそのままで、股関節から前に倒すようにします。
具体的には、お尻を後ろに突き出して、胸を軽く張る姿勢になります。
こうすると、腰の状態は、直立した状態と同じで、股関節から前に倒れている状態なので、腰への負担が軽減されます。
前屈みの姿勢で、ぎっくり腰を起こしやすい人は、こうして、顔を洗ったりすると良いでしょう。
でも、根本原因は、足元からの歪みの場合が多いので、それをきちんと直すことが重要です。
施術例